介護と仕事の両立

介護と仕事は両立できない?知って得する制度とは

近年、介護離職が問題になっています。

そうは言っても、介護をしながら今の働き方を続けることは難しいと感じている方は多いのではないでしょうか。

仕事を辞めることなく介護をするには、ちょっとした工夫が必要です。

そこで今回は、介護と仕事の両立のために利用できる制度をいくつかご紹介します。

 

介護離職を選択する人はどのくらい?

介護離職のデメリット

親や近親者の介護のために仕事を辞める人はどのくらいいるのでしょうか。

総務省統計局の「平成29年就業構造基本調査」によると、年間約10万人が介護や看護を理由に仕事を辞める選択をしているそうです。

必要な介護のレベルによっては、仕事との両立が非常に難しいケースもあるでしょう。

離職という選択がやむを得ない場合もありますが、様々なデメリットの存在を認識しておくことも大切です。

介護離職のデメリット

介護離職のリスクは何と言っても、介護期間にいつまでという期限を設けることができないことにあります。

介護が始まると、手続きや介護環境の準備などに追われ、「仕事をやってる場合じゃない!」と思ってしまうこともあるでしょう。

しかし、終わりの見えない介護を前に仕事を手放してしまうことは、結果的に自分の首を絞めてしまうことになりかねません。

デメリット1、「収入なし」が苦しい!

単純に、仕事を辞めると収入がなくなってしまいますよね。

5年、10年と続くかもしれない介護中心の生活のすべてを貯金に頼っていれば、みるみるうちに家計は苦しくなり、精神的に追いつめられてしまう方も少なくありません。

仕事をしていることで得られる毎月の安定した収入は、心の支えにもなってくれます。

デメリット2、転職が難しい!

デメリットのもうひとつは、介護離職後の再就職が非常に難しいということです。

介護期間が長引けばそれだけブランクも長くなってしまいますし、永続的な介護のなかでは転職活動を開始するタイミングも見つけにくくなります。

そのため、介護の終了や、先に挙げたような金銭的な問題が起こったとしても、生活を立て直すことが非常に困難になってしまう可能性があることを頭に入れておきましょう。

「介護に専念できれば少しは楽になる」と思いがちですが、本当に仕事を辞めても大丈夫かどうかを考えることが大切です。

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介護と仕事の両立のために知っておきたい制度

介護と仕事を両立する方法

それでは、仕事をしながら介護をしている方はどのくらいいるのでしょうか。

「平成29年就業構造基本調査」によると、介護をしている人は約628万人、その内仕事をしている人は約346万人というデータが出ています。

つまり、介護を行っている人のうち約6割が仕事と介護を両立させているということです。

しかし、今までの生活に介護が加わるとなれば、同じ働き方を続けることは難しいでしょう。

そこで、介護と仕事の両立のために利用できる制度をいくつかご紹介します。

育児・介護休業法

育児・介護休業法とは、仕事をしながらでも育児や介護をしやすくするための法律です。

対象家族※1が負傷、疾病または身体上・精神上の障害によって2週間以上の介護が必要になった場合に請求することができます。

この法律によって介護を理由に不当な評価を下すことも禁止されているため、安心して働くことができます。

ここからは、そのなかからいくつか代表的なものをご紹介しましょう。

※1 介護の対象家族とは、配偶者(事実婚も含む)、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母のこと。

1、介護休業

介護を必要とする家族1人につき通算93日までの休業を、3回を上限として分割取得することができます。

休業開始予定日の2週間前までに申し出るのが基本です。

【取得対象外になる可能性あり】

  • その事業主との継続した雇用が1年に満たない場合
  • 介護休業を取得させられないということに合理的な理由※2があると認められる場合
  • 同一の介護対象家族についての介護休業の申し出を2回連続で撤回した場合

日雇いの場合は対象外となりますが、期間を定めて雇用される者に関しては、以下の条件に合致すれば取得することができます。

 

  • 同一の事業者に1年以上雇用されていること
  • 介護休業取得予定日から起算して93日を経過する日から6ヶ月を経過する日までに労働契約の期間が満了しないこと

※2 申し出の日から93日以内に雇用関係が終了することが明らかな場合、もしくは1週間の所定労働日数が2日以下の場合を指します。

2、介護休暇

年次有給休暇とは別に、介護やその他の世話を行うことを目的として1日単位で休暇を取得することができます。

育児・介護休業法が改正され※3、2021年1月1日からは時間単位での取得も可能になりました※4

取得可能な日数は1年に5日(要介護状態の家族が2人以上の場合は10日)までです。

日雇い、または労使協定に記載がある場合は取得対象外となることがあるのでよく確認しておきましょう。

【取得対象外になる可能性あり】

  • その事業主との継続した雇用が6ヶ月に満たない場合
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の場合

※3 厚生労働省 リーフレット「子の看護休暇・介護休暇が時間単位で取得できるようになります!」 参照(2021年2月9日確認)

※4 業務上難しいと判断される場合は、時間単位での休暇取得はできません。

3、介護のための所定労働時間の短縮措置等(選択的措置義務)

介護休暇を取得しない期間において、3年の間に少なくとも2回以上利用可能な制度です。

事業者が以下の4つのなかから措置を選択します。

    1. 短時間勤務制度
    2. フレックスタイム制度
    3. 始業・終業時刻の調整
    4. 労働者が利用する介護サービス費用の助成その他それに準じる制度

日雇い、または労使協定に記載がある場合は取得対象外となることがあるのでよく確認しておきましょう。

【取得対象外になる可能性あり】

  • その事業主との継続した雇用が1年に満たない場合
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の場合

4、所定外労働の制限

介護と仕事の両立、勤務時間

事業の正常な運営を妨げる場合※5を除き、所定の労働時間を超えた労働は免除してもらえる制度です。

介護の必要がなくなるまで何度でも請求することができます。

1回につき1ヶ月以上1年以内の期間を指定し、労働制限の開始予定日の1ヶ月前までに請求する必要があります。

日雇いの場合は取得対象外となります。その他労使協定に以下の記載がある場合は対象外となることがありますのでよく確認しておきましょう。

【取得対象外になる可能性あり】

  • その事業主との継続した雇用が1年に満たない場合
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の場合

※5 「事業の正常な運営を妨げる」かどうかは、所属する事業所を基準として、担当業務の内容や代理配置の難易度などの事情を鑑み、客観的に判断するとしています。

5、時間外労働の制限

事業の正常な運営を妨げる場合を除き、1ヶ月について24時間、1年について150時間を超える時間外労働を免除してもらえる制度です。

請求の期間や制度対象者は「所定外労働の制限」と同じです。

6、深夜業の制限

事業の正常な運営を妨げる場合を除き、22時から翌5時までの深夜労働を免除してもらえる制度です。

所定労働時間の延長としての深夜業も対象となります。

介護の必要がなくなるまで何度でも請求することが可能です。

1回につき1ヶ月以上6ヶ月以内の期間を指定し、開始予定日の1ヶ月前までに請求する必要があります。

日雇いの場合と、以下に当てはまる場合は請求ができません。

【対象外】

  • その事業主との継続した雇用が1年に満たない場合
  • 深夜に常態介護ができる同居家族※6がいる場合
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の場合
  • 所定の労働時間のすべてが深夜の場合

※6 16歳以上の同居家族であり、以下のいずれもに該当する者としています。

  • 深夜に就業していない(深夜の就業日数が1ヶ月に3日以下の場合も含む)
  • 負傷・疾病等により介護が困難でない
  • 6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産する予定、または産後8週間を経過しない者でない

介護保険制度

介護保険制度を利用するには

40歳以上になると、介護保険に加入することになります。

被保険者でなおかつ条件をクリアした場合は、介護保険サービスを受けることができます。

65歳以上、もしくは40~64歳で特定疾病により介護が必要と認められた場合が対象です。

サービスを受けるためには、まずは市区町村に要介護認定を受ける必要があります。

その後は、訪問介護や介護施設への入所など、介護レベルに合ったサービスを収入によって1割~3割の負担で利用することができます。

自分ひとりで介護のすべてを担おうとするといつか限界が来てしまいます。

介護保険制度を利用して施設などを頼ることで、仕事との両立はもとより、自分自身の心身の健康維持につなげましょう。

制度を利用して無理のない生活を

介護と仕事を両立させるには

介護と仕事を両立させるためには、まずは職場の理解が必要不可欠です。

介護が始まると、早退しなければならない日があったり、どうしても平日にやらなければならない手続きがあったりと、今まで通りの働き方ができない場合が出てきます。

すぐに離職を考えるのではなく、まずは仕事を続けられる方法を考えてみましょう。

介護休業や時短勤務など、仕事との両立を支援する制度はたくさんあります。

うまく利用して無理のない生活を送るようにしましょう。

 

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