
「転職先が決まってから引っ越すべき?それとも先に引っ越す?」「引っ越しと転職を同時にやるのは大変そう…何から手をつければ?」「U・Iターンで地元に戻りながら転職したいけれど、どう進めればいい?」——転職と引っ越しを同時に行う状況は、意外と多くあります。
憧れの都市で働きたい、配偶者の転勤に伴う転職、地元へのUターン——事情によって最適な順序は異なりますが、基本は「内定をもらってから引っ越す」が鉄則です。ただし、それを守るだけでは足りません。内定から入社日までの期間、引っ越しシーズンとのかぶり、子育て世帯特有の事情、物件の入居審査、退職の引き継ぎなど、考慮すべきことは山積みです。
この記事では、転職と引っ越しをスムーズに両立させる基本の順序、内定前引っ越しのリスク、ステップ別の進め方、引っ越し後の手続きまでを、最新情報をもとに解説します。
転職と引っ越し、基本の順序はこれ
同時に行う場合の基本フローは、転職活動開始→内定獲得→物件探し・入居申し込み→退職の意思表示・引き継ぎ→引っ越し(入社日の1週間前が目安)→入社→各種手続き、という流れです。最も重要なのは「内定をもらってから引っ越しの準備を始める」こと。内定前に引っ越すとさまざまなリスクが生じます。
また注意したいのが、内定から入社日までの期間が思ったより短いケースが多いこと。退職の引き継ぎ・物件探し・引っ越し作業・各種手続きを短期間でこなすことになるため、内定をもらった直後から素早く動き出すことが大切です。
内定前に引っ越すとどうなる?3つのリスク
「先に引っ越してしまおう」という考えは一見合理的に思えても、実際には多くのリスクを伴います。
① 再引っ越しのリスクがある
「このエリアで働く」という明確なビジョンがあっても、実際の配属先が想定と異なる可能性があります。同じ地域に複数の店舗・拠点を展開する企業では、「◯◯駅近くと思っていたのに別の場所への配属になった」というケースは珍しくありません。結果、通勤に1時間以上かかったり、再度引っ越しが必要になったりします。引っ越しには費用・体力・時間が必要。二重の負担を避けるため、配属先が確定してから引っ越し先を決めましょう。また、活動中に「別の会社の方が条件がいい」と判断が変わることもあり、内定前に引っ越すと住む場所に縛られて選択肢が狭まるリスクもあります。
② 入居審査に通りにくくなる
賃貸物件の入居には、ほぼ必ず入居審査があり、今後継続して家賃を支払えるかという支払い能力が見られます。収入が安定していない状態・次の職場が決まっていない状態での審査は非常に不利で、退職後でブランクがある場合は審査に通らないことも多く見られます。内定をもらえれば、採用通知書・内定通知書を提示して「この収入が見込める」と証明でき、内定通知書での審査対応が可能な物件もあるため、審査通過率が大きく向上します。
③ 転職活動が長引いて焦りが生まれる
「先に引っ越して、それから転職活動」という考えは大きなリスクをはらみます。転職活動は3〜6ヶ月かかることも珍しくなく、新生活では家賃・光熱費・食費など固定的な出費が毎月発生します。収入がない状態での支出が続くと「早く決めなければ」という焦りが生まれ、本来の希望条件を大きく妥協した転職先を選んでしまうことも。焦りからの妥協は転職後の後悔につながる最大の原因のひとつです。経済的な余裕がある状態で活動を進めるためにも、内定後の引っ越しが基本です。
例外的に「内定前引っ越し」が有効なケース
原則は内定後の引っ越しですが、転職希望エリアが遠く離れている場合は例外です。たとえば九州在住で東京への転職を目指すと、面接のたびに往復の交通費がかかり、複数回の面接で数万円になることも。この場合は先に希望エリアへ引っ越す方が効率的なことがあります。ただしリスクは変わらないため、生活費6ヶ月分以上の貯蓄を確保する、家賃を低めに抑える、まずは短期・仮住まいにして内定後に本格的な物件を探す、といった注意が必要です。また、Uターン・Iターン転職では、実家に一時的に戻ることで住居費を抑えながら活動でき、入居審査や家賃の問題も発生しないため地元での活動に専念しやすいメリットがあります。
ステップ別・転職と引っ越しの進め方

STEP① 転職活動開始(通勤アクセスもチェック)
自己分析・企業研究に加えて、「その職場にどう通うか」という通勤アクセスも事前にリサーチしておきましょう。最寄り駅・バス停から職場までの所要時間、乗り換え回数、通勤ラッシュ時の混雑、車通勤なら駐車場の有無・費用、自転車・徒歩が可能なエリアなどを確認します。求人票の住所をもとに地図アプリで通勤ルートと所要時間を確認し、可能なら実際の出勤時間帯に現地を訪れて混雑や周辺環境を確かめると、物件選びの参考になります。
STEP② 内定獲得(入社日の交渉が重要)
内定をもらうと入社日の話が出ます。「すぐ来てほしい」と言われても流されないこと。退職の引き継ぎ・物件探し・引っ越し作業・各種手続きにはまとまった時間が必要です。目安として、現職への退職申し出は退職日の1〜2ヶ月前、引き継ぎは1〜2ヶ月、物件探し・契約は2週間〜1ヶ月、引っ越し業者の手配は2週間〜1ヶ月(繁忙期は早めに)、入社1週間前には引っ越し完了が理想です。これらを逆算し、「◯月◯日を入社希望日としてご調整いただくことは可能でしょうか」と具体的な日付を提示するとスムーズに進みます。
STEP③ 物件探し(費用補助・社宅もチェック)
自力で探す前に、転職先企業の住居支援制度を確認しましょう。社宅・寮があれば敷金・礼金が発生しないことも多く、最初は社宅・寮に入居してお金が貯まってから改めて引っ越す方法もあります。提携不動産会社の紹介や引っ越し費用の補助がある企業もあるため、事前に確認を。物件選びでは、通勤時間・ルートが許容範囲か、実際の通勤時間帯に現地を確認したか、周辺の生活インフラは充実しているか、家賃は月収の30%以内か、初期費用は予算内か、入居可能日が引っ越し予定日に合うか、内定通知書での審査対応が可能かをチェックします。引っ越しシーズン(2〜3月・9〜10月)に重なると、よい物件ほど早く埋まり費用も割高になりがちなので、内定が出たら即座に物件探しを始めましょう。
STEP④ 退職の準備(退職日の設定と引き継ぎ)
物件探しと並行して退職の準備を進めます。退職の意思表示は退職日の1〜2ヶ月前に行うのがマナーです。業務によっては引き継ぎに長時間かかることもあるため、入社日に間に合うよう退職日を逆算して早めに伝えましょう。引き止めにあった場合は「引っ越し業者・転職先の入社日が決まっているため、◯月◯日での退職を希望します」と明確に伝えると交渉の余地が生まれにくくなります。また、退職日と引っ越し日が近すぎると手続きと引っ越しが同時進行で非常にハードになるため、間に数日のゆとりを持たせましょう。
STEP⑤ 引っ越し(入社日の1週間前が目安)
引っ越しは入社日の1週間前が理想です。段ボールを開封して生活用品を整え、通勤ルートを実際に歩いて確認するなど、入社前に新生活に慣れる時間をとれます。引っ越し業者を選ぶ際は、複数社から見積もりを取る(同条件でも価格が大きく異なる)、繁忙期は早めに予約する、荷造り代行や不用品回収などオプションの有無を確認する、単身なら「単身パック」でコストを抑える、といった点を意識しましょう。
STEP⑥ 入社後の手続き
引っ越し後はさまざまな手続きが必要です。仕事が始まると平日の時間を取りにくくなるため、引っ越し直後・入社前の時間を活用してできるだけ早めに済ませましょう(詳細は後述のチェックリストを参照)。
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引っ越しシーズンと転職活動が重なるときの対処法
転職活動が活発になるのは求人が増える2〜3月・9〜10月ですが、この時期は学生の新生活や人事異動に伴う引っ越しも集中する、年間で最も引っ越しが多いシーズンと一致します。よい物件から順に埋まる、引っ越し費用が通常期の1.5〜2倍になることもある、希望日に業者の予約が取りにくい、不動産会社の対応が遅くなる、といった問題が起きがちです。
対処法としては、まず転職活動と並行して物件探しのリサーチも始めること。内定前に契約はできませんが、希望エリア・家賃相場・物件の傾向は先行して調べられます。次に、引っ越し業者は早めに複数社へ見積もりを依頼し、内定が出たら即座に仮予約を。さらに、入社日交渉で3月末〜4月頭のような最繁忙期を少しずらし、4月中旬以降の入社を提案すると、費用や物件の選択肢が広がる場合があります。
子育て世帯が引っ越し前に確認すべきポイント
子どもも一緒に引っ越す場合は、大人だけとは異なる配慮が必要です。教育環境では、近くに保育園・幼稚園・小学校があるか、希望の保育園・学童に空きがあるか(特に認可保育園は入所待ちが多い)、通学路の安全性、学区内の学校の評判などを確認します。生活利便性では小児科・病院の近さ、子連れで行きやすいスーパー・公園、歩道の整備状況を、地域コミュニティでは子育て支援サービスや同世代の家族が多いかを見ておきましょう。転校については必要な書類・手順を事前に確認し、転校先に連絡・相談を。特に保育園への転園は住所がある自治体への申し込みが必要なため、引っ越しのタイミングと申し込み時期を合わせて調整することが大切です。
引っ越し後の手続きチェックリスト

引っ越しが完了したら、以下の手続きを速やかに行いましょう。入社前に済ませられるものは先に対応しておくと安心です。旧住所での転出届、新住所での転入届、マイナンバーカードの住所変更、運転免許証の住所変更、健康保険証・年金手帳の住所変更(転職先経由が多い)、銀行口座・クレジットカードの住所変更、郵便の転送手続き、公共料金(電気・ガス・水道)の解約・新規契約、ネット回線の移転・新規契約、子どもの転校手続きなどが挙げられます。
特に注意したいのが3点。まず、住民票の移動は転入から14日以内が期限で、遅れると住民基本台帳法に基づく過料が科せられる可能性があります。次に、郵便物の転送手続き(日本郵便の転送サービスは1年間無料)は引っ越し前に済ませ、重要書類が旧住所に届くリスクを防ぎましょう。最後に、光回線などの固定回線は申し込みから開通まで2週間〜1ヶ月かかることがあるため、テレワークが多い方は1ヶ月前に手配し、開通まではポケットWi-Fiなどで対応すると便利です。
よくある質問(Q&A)
Q. 内定前に引っ越しを検討中です。入居審査は通りますか?
A. 退職後・無職の状態での審査は難しい場合があります。在職中(活動中)なら現在の収入で審査を受けられ、内定通知書の提示で通りやすくなる物件もあります。心配なら、まず内定を得てから物件探しを始めることを強くおすすめします。
Q. 入社日までに引っ越しが間に合わない場合は?
A. 入社日の交渉を試みましょう。具体的な日付を提案すると調整してもらえることがあります。それでも間に合わなければ、一時的にホテル・マンスリーマンションに滞在しながら物件探しを続ける選択肢もあります。
Q. 転職先が社宅・寮を用意してくれます。入居すべき?
A. コスト面のメリットは大きく、特に初期費用の節約になります。一方でプライバシーや通勤距離、退去後の住居問題などのデメリットも。まず社宅・寮に入って情報とお金を貯め、後で自分に合った物件へ引っ越すステップアップの方法もよいでしょう。
Q. 引っ越し費用はどのくらい?
A. 荷物量・距離・シーズン・業者で大きく異なります。単身・近距離なら3〜5万円程度、ファミリー・遠距離なら15〜30万円以上になることも。複数社から見積もりを取って比較するとコストを抑えられます。費用補助がある企業では領収書の提出等で補助を受けられる場合もあります。
Q. U・Iターン転職を考えています。先に帰省して活動すべき?
A. 実家に帰省できるなら、一時的に戻ってから地元での活動を始める方法が有効です。住居費の負担なく専念でき、地元の職場・生活環境を実際に確認しながら活動できます。地元のハローワーク・転職エージェントを活用すると、地元ならではの求人にアクセスしやすくなります。
まとめ

転職と引っ越しの基本の順序は「転職活動→内定→物件探し→退職→引っ越し→入社」です。内定前の引っ越しには、再引っ越しのリスク、入居審査の難しさ、焦りからの妥協という3つのリスクがあります。例外的に有効なのは、転職希望地が遠方の場合や実家への帰省(U・Iターン)のケースです。
内定後は入社日の交渉が最重要。退職の引き継ぎや物件探し、引っ越しに必要な期間を逆算して提案しましょう。物件探しの前に社宅・寮・費用補助などの企業の住居支援制度を確認し、引っ越しシーズンと重なる場合は物件のリサーチと業者への早期連絡を。子育て世帯は保育園の空き・学区・通学路の安全・小児科の有無を事前に確認し、引っ越し後は住民票の移動(14日以内)・郵便転送・ネット回線の開通を優先して手続きします。引っ越しから入社まで1週間ほどのゆとりを持たせると、新生活への適応がスムーズになります。
転職と引っ越しを同時に進めるのが不安。
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