ホテルのアシスタントマネージャー

自分が歩いてきた道が道になっていく ーホテルマネージャーインタビュー(後編)

前編からのつづきです。

 

復職で気づいた本当の自分

結婚によりホテル勤務に

 

―ホテルとしては「外部からお嫁さんがきた」ということになりますよね。「自由な立場である」とおっしゃていましたが、やりづらさを感じたことはありませんか?

初め入った時は、私よりむしろスタッフの方が気を遣ったと思います。

みなさん、私を教えないといけない立場になるので。

私の方は転職経験もありましたし、そこは気にしないタイプなので特に大変と感じることもなかったですね。

でも、「自分よりは周りの人たちを立てていかないといけない」という思いはありました。

私は根っからポジティブなので、新しい場所での人間関係も大丈夫だったと思います。スムーズに楽しく始められましたね。

 

―土日はほぼ出勤で夜型の勤務ということですが、家族で過ごす時間は確保できていますか?

夕方からの勤務なので、朝・昼は家にいられます。

平日は買い物行ったり、子どもと公園行ったりもできますね。

 

―もともと「働きたい」というタイプですか?結婚・出産を経て何か「働く」ということに対して考えが変わりましたか?

どちらかというと仕事をしていたいタイプだとは思います。

でも、産んだ後というのは気持ち的な部分がやはり変わるもので。

育休中は「働かないって幸せだ」ってなっていました(笑)毎日寝て起きて寝て起きてで。

時間があるので、今までやっていなかった煮込み料理をしてみたり(笑)

 

でも復職してみたら「あ、やっぱり自分は子育てベッタリのタイプではなかった。外に出るタイプだったな」と気づきました。

 

子どもを持って初めて分かった!ある事件…

ホテルのアシスタントマネージャー

 

―出産前後で仕事に対する意識は変わりましたか?

「早く終わらせて帰りたい」というモチベーションができたように思います。

「早く家帰ってお風呂に入れなきゃ!」とか、時間に対する意識が変わりましたね。

子どもに対しては、基本的には家にいてあげることが大切かなと思っているので。

 

たまに悩んでいるのは、「子どもが病気をした時に仕事をどうするか?」という問題ですね。

これについては私の中でひとつの事件があって…

 

あるご婚礼の予定が入っていたんです。

婚礼ってなかなか大変で。私の方で、新郎新婦様と1年くらい前からずっと綿密な打ち合わせを繰り返してきたんですね。

その婚礼当日の3日前くらいに子どもの調子が悪くなってしまって。

病院に連れて行ったら”RSウィルス”と診断されたんです。よくあるウィルス性の風邪なんですが、でも悪化してしまうと即入院というものなんです。

 

病院に行って、お医者さんから「次の日に様子を見て、悪かったら入院です」と言われて…次の日というのが祝日で病院が休みだったので、1日飛んでちょうど婚礼の当日に病院に行かないといけなくなったんですね。

しかも、「その場で入院になることもあるので、念のためご両親で来てください」と言われてしまったんです。

とっさに「その日…私大きな仕事が入っていまして」と言ったら診察室が変な空気になってしまって(笑)

はっと気づいて「あ、なんとかします!」と取り繕ったんですが、それを口に出してしまった時に「大切な仕事があって休めそうもない、でも目の前には大切な子どもがいるのに」と思って、ものすごく悩みましたね。

 

普通の宴会だったらまだしも、婚礼となったら…担当の私がいなくて大丈夫なのかなと不安になったんですね。

その時先輩に言われたのは ーその方もプランナーをしていてお子さんがいらっしゃるんですが、「そういう時に備えて、任せられる人材というのを育てていないからだよ」と。

もし、またそういう状況になっても大丈夫なように、今いるスタッフを育てていかなければというように意識は変わりましたね。

子どもがいるとイレギュラーなことがあるので、私がいなくても大丈夫な環境を作らないとというのは、子どもがいない時には分からなかったことでした。

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自分が「こうしたい」という思いは持ち続ける

ホテルセントイン倉敷 高橋さん

 

―プライベートなども含めた今後の展望や夢などはありますか? 

今は考えられていないので、1件1件の宴会をきちんとしていくということにあるんですが、来てくださった方お一人にでも「楽しかった」と言って帰ってもらえるように頑張っています。

体力的には20本入りの瓶ビールケースを担いで何歳までやっていけるのかな?というのはあるんですが(笑)できる限り長く続けたいです。

やっぱり現場仕事が好きで、お客様の顔が見えていないと嫌なので。

もし体がダメになったら引退してスナックをやりたいです。毎晩飲んで眠りにつきたいな、なんて(笑)

 

―最後に、同世代のお子さんがいらっしゃる女性に向けてメッセージをお願いします。

もともと仲が良かった友達が同時期に出産して、運よくママ友ができたんですね。

その子たちが今年の春から復職しているので、「みんな頑張っているから私も頑張ろう」と周りから良い刺激をもらっています。

でも、いざ復職しても、前と同じ業務に就けなかったりという話は聞きました。

前勤めていた車屋さんの同期の友達は二人目ができたので、また産休に入ることが決まったんですね。

それで「会社に対して気まずくないの?」と聞いたんですけど、「また復帰してバリバリやっていくから」と言っていたので、すごいなと。

本当に良い刺激になっています。

 

女性は年齢や家族構成なんかでライフスタイルが大きく異なってきますので、ケースバイケースだとは思いますから、どの道が正解だというのはないと思います。

自分が歩いてきた道が道になっていくと思うので。

でも、自分が「こうしたい」と思うことは持ち続けることが大切だと思います。

その姿を必ず誰かが見てくれていると思うし、その姿に勇気づけられる人もいると思います。

子どもやいろんな人に頑張っている姿を見せていく必要もあると思いますしね。

 

基本的には、好きでやりたい仕事を選ぶということは大切だと思います。

仕事をしていく上で「やりがい」は大事になってきます。

いろんな仕事があるなかで、ちょっとでも「この仕事やりたいな」「楽しいな」と思えるものを選ぶようにしていったらよいかなと思いますね。

(おわり)

 

▼ホテルセントイン倉敷 HP

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